
Mirumiのぬいぐるみのような外観と長い腕。画像:© Yukai Engineering、Mirumi公式メディア素材。
AI玩具の開発では、何に答えられるかだけでなく、どうすれば人が近づきたくなるかも考えると役立ちます。
日本のロボット開発企業Yukai EngineeringのMirumiは、バッグに取り付けられるぬいぐるみロボットです。首をかしげたり周囲を見回したりする小さな動きで、好奇心や恥ずかしさを表します。目指す感情体験は具体的です。かわいい小さな生き物に見つめられ、思わず笑顔になって反応を返したくなる、そんな瞬間です。
開発者にとって参考になるのは、一つの動きから生まれた体験が、日常生活へどう広がっていくかという点です。
まず一つの感情を明確に伝える
Mirumiの公式サイトによると、音のする方へ頭を向けます。下の公式デモをご覧ください。後ろや横を向いていた頭がこちらに回り、それまで隠れていた目が見えます。小さな生き物がこちらに気づいたように感じられます。

音のする方を向くMirumiの公式デモ。画像:© Yukai Engineering、Mirumi公式サイト。
クラウドファンディングの説明には、別の場面も紹介されています。周囲を見回しながら頭を上げ、偶然こちらと目が合うと、恥ずかしがるように視線をそらします。
開発者にとって具体的な参考になるのは、動きと、それが起きる状況を一緒に設計するという点です。音のする方を向けば、何かに注意を向けているように見えます。目が合った後に視線をそらせば、恥ずかしがっているように見えます。どちらも頭を回す動きですが、その前後に何が起きるかによって、人の受け止め方が変わります。
まず、こちらに気づいてくれた、反応を返してくれた、あるいは少しおどけている、と感じてほしいのかを決めます。そのうえで、外観や動きがその感覚を伝えているかを評価します。
バッグに付けることで、やり取りの相手が広がる
Mirumiは長い腕でバッグのストラップにつかまれます。持ち主が外出すれば、通勤や買い物といった日常の行動に自然に加わり、遊ぶための時間を別に設ける必要はありません。

バッグのストラップに取り付けられ、持ち主の外出に寄り添うMirumi。画像:© Yukai Engineering、Mirumi公式メディア素材。
さらに興味深いのは、持ち主の周りの人も巻き込むことです。公式の説明では、赤ちゃんに見つめられると自然に手を振ったり、偶然目が合った知らない人同士が笑顔を交わしたりする場面から着想を得たとされています。Mirumiは小さな動きを通じて、同じような心地よいつながりの瞬間を生み出そうとしています。
この設計意図に沿って考えると、寄り添うことの価値は、人と人とのつながりにも広がります。バッグに付けたアクセサリーが誰かの目に留まると、双方が自然に反応し合うきっかけになります。開発者にとっては、持ち主と玩具の一対一のやり取りに加えて、持ち主、玩具、周りの人も含めて、感情に働きかける体験を設計することの大切さを示しています。
まず反応を観察し、次に日常での使われ方を見る
この事例を自分の開発に生かすなら、一つの場面から始め、何がきっかけで、どう動き、人にどんな反応をしてほしいのかまで、一連のやり取りを組み立てます。
試作機のテストでは、性格を説明する前に、何を「していた」と思うかを参加者に尋ねます。単に頭が回ったとしか見えず、意図した意味が伝わらなかった場合は、次の改良で、動きとそのきっかけの関係を見直します。
人が反応を返したくなるようなら、試作機を日常生活に持ち込み、それでも持ち歩きたいと思うかを確かめます。やり取りは楽しいのに外へ持っていきたくない場合は、着脱しにくいのか、持ち運びが不便なのか、外出時の行動に合わないのかを尋ねます。こうした反応は、やり取りの仕方と、携帯・使用の仕方を、それぞれ改善する手がかりになります。一度かわいいと思ってもらえただけでは、長く使われるかどうかは分かりません。
会話、記憶、より高性能なモデルはいずれも、感情に働きかける体験に役立てられます。何を加えるか迷ったら、やり取りが生まれるその瞬間に立ち返ってみましょう。その機能は、伝えたい感情を使う人が感じ取りやすくするでしょうか。
Mirumiは開発者に、役立つ問いを残してくれます。自分の玩具にどんな小さな動きがあれば、人はもう少し近づきたくなるでしょうか。
出典:Mirumi公式サイト、GeekParkによる創業者インタビュー(2025年1月)、Mirumiクラウドファンディングのプロジェクト紹介、The Verge。


